皆さんこんにちは!アポクリン党のyouです☀
いよいよお盆休みですね!
各地で渋滞や事故のニュースが流れていますが、皆さんは大丈夫ですか?
そんな中、ホンダのハイブリッド車が渋滞の坂道で止まってしまい、立ち往生してしまうといった内容のポストをよく見かけます。
リプライ欄には決まって、「ホンダのハイブリッド車は買うな」という言葉がありますが、果たして本当なのでしょうか?
今回は、なぜ「ホンダのハイブリッド車は買うな」と言われるのか、果たしてそれは本当なのか、深堀りしていきたいと思います。
というわけで、ゆっくりしていってね!
目次
事の真相
結論、今のホンダ車は大丈夫です。
先代のホンダのハイブリッド車に使われた「i-DCD」という機構に原因があります。
まず、坂道で時速4km前後でのノロノロ走行をしたり、坂道でアクセルを踏んで止まっている状態(ブレーキを使わずに、ほぼクリープ走行)となった時に、走行用のバッテリーの残量が無くなり、バッテリーが充電されることなく走ることになります。
結果、クラッチが焼き付きを起こしてしまい、「トランスミッション高温、安全な場所に車両を停車して下さい」といったメッセージが表示されて走行不能となります。
これが、よくSNSで言われている「ホンダのハイブリッド車は壊れる。買うな。」という内容の真相です。
i-DCDについて
さて、先述した「i-DCD」ですが、この機構は変速機に大きな特徴があります。
それは、昨今の多くのハイブリッド車が電気式無段変速機を用いるのに対し、「i-DCD」はDCT(デュアルクラッチトランスミッション)を使用している点です。
DCTとは、MT車と同じ構造(1速~7速までギヤがある)を用いるトランスミッションで、変速操作を機械が行うことでAT限定のドライバーも運転ができるのが特徴です。
ひとくくりに言えばATですが、トルクコンバーターを用いる純粋なATとはそもそも構造が全く違います。ざっくり、「MTの機構で自動変速するトランスミッション」と考えればOKです。
そして、「i-DCD」は1、3、5、7速がモーターに、2、4,6速がエンジンにそれぞれ接続しており、1速をモーター内に埋め込むことでトランスミッションをコンパクト化しているのも特徴です。
走行不能に至る経緯
では、どのような負荷がかかって走行不能に至るのでしょうか?
原因は、先述した「低速走行」にあります。
「i-DCD」のクラッチはエンジン側とモーター側に2枚あります。これがいわゆる「デュアルクラッチ」なのですが、低速走行していると1速と2速を行ったり来たりすることになります。
ただ単に、「1速→加速して2速→やっぱり減速して1速」なら負荷はかからないのですが、「1速→2速?やっぱりそのまま1速…いや、2速に行く!」といった中途半端な状況になると半クラッチ状態が続くことになり、次第にクラッチ板が熱を持ち始めます。
そして、「1速→2速?いや、1速のまま…いや、2速に行くのかい?行かないのかい??どっちなんっだい!パワー!!!」となった結果、クラッチが焼き付いてしまい走行不能となってしまいます。
※厳密には走行不能となる前にコンピューターが強制停止させて、トランスミッションを冷却するようドライバーに促します。壊れる前に止めてくれるのはありがたいですね…。
そもそも、クラッチが湿式ならこのような問題は発生しないかと思います。抵抗や損失を抑えるために乾式にしたみたいですが、乾式にする事で焼き付きが生じてしまうのは残念な気がします。
今の機構は安全?
では、今のホンダのハイブリッド車はどうなのでしょうか?
現行のホンダ車で使われているハイブリッド技術は「e:HEV」という機構です。「e:HEV」は低中速域ではモーターが主体、高速域ではエンジンが主体となって走行するため、シリーズ式とパラレル式の良い所どりなハイブリッド機構です。
トランスミッションは、電気式無段変速機(発電用・走行用モーター2基と、エンジン直結クラッチ搭載)となります。先述した通り、低中速域ではモーターが主体となって走行し、そもそも「i-DCD」のような駆動用のクラッチを持たないので焼き付きの心配がありません。
もし、低中速域でバッテリー残量が低下した場合、エンジンが発電してバッテリーを充電することでモーター走行を可能にします。これなら走行不能になる心配はありませんね!
↑現行のCIVICにも「e:HEV」が搭載されている。加速時は有段ギヤのようなステップ制御で、優れた燃費性能と運転の楽しさを両立している。(値段はやや高め)
まとめ
ホンダは過去に「IMA」システムといった様々なハイブリッド技術を展開してきましたが、多くはエンジンが主体となって走行するパラレル式でした。その歴史の中で、走る楽しさを追求して生まれたのが「i-DCD」です。
実際の走行感覚は車好きにはたまらないでしょう。有段ギヤの走行感覚と走る楽しさを味わえるのに、燃費が良くて経済的なのですから非の打ちどころがありません。しかし、そんな優等生にも苦手な点があったという話でした。
↑かつて「MTのハイブリッドスポーツカー」として話題になった「CR-Z」は、中古車価格が50万円前後で推移しており初めてのクルマにもオススメ。パラレル式のハイブリッドは通常の自動車と同じトランスミッションを組み合わせる必要があったが、ホンダはそこを生かしてMT車も販売していた。フィットハイブリットにもMTの設定があった。
ちなみに、「i-DCD」の搭載車種は「ヴェゼル」「フィット」「シャトル」「フリード」等、コンパクトカーからミニバンまで多岐にわたります。個人的にはファミリーカーの代名詞のような存在の「フリード」に搭載されていたというのが熱い点ですが…
やっぱりホンダは変態なんだなと思います。
脇汗が止まりません。
先代フリードは試乗したことがないので走行感覚はあくまでイメージですが、ホンダが得意とする低床フロア構造による低重心化と有段ギヤによるスポーツ走行…運転の楽しさは容易に想像できます。
スポーツミニバン市場が衰退しても、走りの楽しさを求めるユーザー層をがっちりつかんでいるホンダは流石です。
もし、ホンダのハイブリッド車が気になった方は、こちらのサイトから探してみてはいかがでしょうか?大手ガリバーなら気になる車種がきっと見つかるはずです!
結論
「ホンダのハイブリッド車は買うな」は浅はかです。
まず、原因をしっかり調べる必要があります。そのうえで対策を考えて実行すればいいだけの話です。
今回の「i-DCD」の搭載車の場合、坂道での渋滞時はダラダラとアクセル操作のみで停止できるような状態を生み出さずに、しっかりと発進と停止を心がけた走行を行うことでクラッチの焼き付けを防ぐことができます。
また、現行の「e:HEV」搭載車は電気式無段変速機によって「i-DCD」の低速時のネガな部分は解消されているため、そもそも論外です。
この記事を読んで、少しでも安心していただけたら本望です。
というわけで、今回はこの辺で。
バイバイ!